鳥籠の中の少女
「緋結、今日は、いつもと違うわね」



お母さんが、リビングでソファに座りながら言った。



「愛璃に無理矢理、決められたの」



「愛璃ちゃんが!?ありがとね。この子、センスあるから、昔からオシャレしてたのに、最近、全然なのよー」



「そうですよね。緋結、センスあるのに勿体無いです」



「でしょー?最近.......」



「お母さん、行って来ます」



私はお母さんの話を遮った。



お母さん、あのままだと、ペラペラ喋りそうだったし、しょうがないわ。



今は、時間がないって言うのに。



「あ、もう行くの?」



「時間ないから、行くね」



「行ってらっしゃーい」



お母さんの元気な声を聞きながら、玄関へ向かった。



「あ、緋結」



「何」



「今日は黒のパンプスね」



「はいはい」



私は適当に返事をして、下駄箱から、黒のパンプスを出した。
< 138 / 230 >

この作品をシェア

pagetop