鳥籠の中の少女
私は黒のパンプスを、愛璃は茶色のサンダルを履き、家を出た。



「今日は、唯人が死んだ日と同じ空してる。キラキラ輝く、太陽が私達を暖かく照らしてくれて、空は雲1つない、澄んだ青」



外に出た私は空を見上げて、独り言を言った。



「そうだね。あたしがテレビで見た空も緋結の言う空だった」



独り言なのに、返してくれた愛璃は優しい。



独り言って言ってても、私は愛璃に何か言ってほしかったから。



それに気付いて、話してくれた愛璃は優しい。



「愛璃、行こう」



「うん」



私達は、2人並んで、ゆっくり歩く。



今日は余裕を持って、20分前に出たから。



私の家からアウトレットパークまで、歩いて10分。



それなのに、早く出た理由は、どうしても、アウトレットパークへ行くのは億劫になるから。



やっぱり、私達の傷を深い。



あの場所は、その傷を深く抉る場所。



私達はそれぞれの思いを巡らせながら、黙って、歩いた。



其処へ、明るい声が響く。




「緋結ー!泉ー!」
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