鳥籠の中の少女
人がごった返す、煌びやかな道を歩いて行く。



近づくにつれて、どんどん、恐怖が私を支配する。



周りにいる人達は笑顔で楽しそうなのに、私達の周りだけは10℃低い。



「緋結、怖くない?」



「何で?」



「顔が強張ってるから」



潤樹には、何でもお見通しの様だ。



私は、そんなに表情に出せないのに。



「そう」



でも、素直になれない私は、適当に返すだけ。



ゆっくり、1歩ずつ近くなって行く。



太陽の広場が見えてきて、俯きたくなった。



それでも、前を向いて歩いた。



そして、太陽の広場に1歩、足を踏み入れると、唯人が死んだ時の事がフラッシュバックした。



『俺....が...刺....したの...か....?...この...周....りの....人...達も...?』



『そうよ!貴方が唯人を......周りの人達を刺したのよ!!』



私は泣きながらも、憎しみを込めた瞳で睨んで、それで、全部を理解したような表情をする男は叫んだんだった。



『うわああぁあぁあああぁぁああ!!!』



それから、落としたナイフを手に取った男が、自分の首にナイフを当てて一気に自分の首を切ったんだ。
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