鳥籠の中の少女
「そ、そんな.........」



愛璃は言葉を失ってる。



そんなの当たり前よね。



唯人の死で、悲しんでいた私が犯人の娘なんだもの。



「で、でも!唯人のお母さんは......」



私は愛璃の言葉を遮った。



「知ってるよ。何もかも全て」



そう。



あの日、唯人が死んだ日に言った言葉。



『でも、私は唯人を殺した犯人の娘なんですよ!!』



でも、唯人のお母さんは全てを知っても私を責めたりはしなかった。



それどころか、私を慰めてくれた。



今でも、その理由は分からない。



いつか、分かる時が来るのだろうか。



「私のお父さんが何故、人を殺したのか?知りたくない?」



「........知りたい.........」



この部屋が静かじゃなければ、聞こえなかったかもしれない。



そんな小さな声だった。
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