鳥籠の中の少女
ずっと、苦しかった。



唯人の為にお父さんの事を許してはいけない。



でも、5歳の頃に遊んでくれたお父さんがうろ覚えでも思い出としてあって。



大好きだったお父さんだって分かって。



でも、お父さんの事を想うと、唯人が私を守って死んだのに、それは酷くないかって思ってしまって。



ずっと、そんな葛藤の中で生きてきた。



「もう大丈夫だよ。あたしも緋結の痛みを一緒に背負うから。だから、1人で抱え込まないで」



愛璃は優しく包み込むように抱きしめながら、私の頭を撫でてくれる。



それが嬉しくて、私は独りじゃないんだって安心できた。



「私が唯人とお父さんを殺したようなものなの。だから、辛かった」



私は一生懸命、愛璃に伝えようとした。



「緋結が悪いんじゃない。唯人は緋結を守っただけ。緋結のお父さんは、緋結に恨まれなくても、緋結に聞いた性格からして、自分が殺したと分かったら、自殺した筈」



「違う......違うよ......」



「違わない。緋結が1番知ってる筈。2人共、緋結を愛してたからの行動。確かに緋結お父さんの行動は許される事じゃない。でも、緋結のお父さんが緋結を愛してくれてた事は事実」



愛璃には全部お見通りなんだね。



嘘を何度も吐いても、バレちゃう。



でも、私の事を大事に思ってくれてるから、バレるんだよね。



よかった。



愛璃が友達で........
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