鳥籠の中の少女
「そんな事無いわ。本当は嫌われるのが怖くて仕方が無い」



「当たり前だよ。あたしなら出来ない」



「そうかな。そう言ってくれると嬉しいわ」



私は自然と愛璃に向かって笑えた。



愛璃が分かってくれたからだと思う。



もう、独りで抱え込まなくていいんだって思えたら、自然に笑えた。



「じゃ、緋結!頑張って来ーい!」



愛璃は私の後ろに回って、背中をパンと叩く。



「愛璃の馬鹿力」



私は叩かれた所を擦りながら、ボソッと呟いた。



小さな声で言ったつもりだけど、この静かな部屋では響いてしまって、愛璃の耳元まで届いていた。



「馬鹿力じゃない!折角、背中押してあげようと思ったのにー」



背中押すじゃなくて、叩いてるだよ。



心の中では、愚痴を言うけど、口には出さない。



これが愛璃の優しさだって知ってるから。



「はいはい。分かったわよ」



「素直じゃないんだからー」



愛璃は口を尖らせる。
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