鳥籠の中の少女
「ありがとう」



ボソッと呟いた言葉。



それに気付いた愛璃は、夏の向日葵が輝くように笑った。



「そう言って貰えて嬉しい」



私は、そんな愛璃を微笑ましく思った。



「じゃあ、緋結、頑張ってきてね。あたしは1回、退散するから。後で、電話かけてね」



愛璃は笑顔で私の部屋を去って行った。



愛璃の言う通りね。



頑張らないと。



正直、怖いけど。



でも、潤樹に真実を言おう。



どんなに残酷な結果に終わろうと、私は後悔したりはしない。



寧ろ言わないほうが、後で後悔する。



だから、私は前に進もう。



もう、下は見ない。



私は、自分なりに過去の十字架を背負いながらも真っ直ぐ、前を向いて歩いて行く。
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