鳥籠の中の少女
「だろ?潤樹は唯、潤樹の姉を殺した犯人の娘だから、好きになったら、姉が許さないとでも思ってたんじゃないか?」



そうなのだろうか?



そうかもしれない。



姉を殺した犯人の娘だから、許しちゃいけない。



勝手に思い込んでしまったのかもしれない。



「潤樹は潤樹の姉が大事だったんだろ?」



「うん、大事だった。気付いたのは、姉が死んでからだったけど」



姉が死んで、其処で初めて、姉が大事な存在だったんだと気付いた。



そんなのもう遅過ぎるのに。



分かっていても、まだ、死んでいないように思ってしまった。



それぐらい、大事な存在だったのに、何で、生きてる頃は分からなかったんだろう?



大事だって思わなかったんだろう?



生きてる時は、生きてる事が当たり前だと思ってたから、全然気付かなかった。



そんな風に、グルグル廻る疑問。



姉が死んだ頃はその疑問に縛られて、自分を見失った。



今でも、考える時がある。



でも、今は、人はいつか死ぬ事を知ったから。



何時死んでもおかしくない事を知ったから。



だから、ずっと、考えて、縛るのは止めようと思ったんだ。



一生懸命生きようと思ったんだ。
< 182 / 230 >

この作品をシェア

pagetop