鳥籠の中の少女
その沈黙を破ったのは、沙良だった。



「緋結には敵わないね。嘘を吐き通すのは止めにしよう?」



沙良が言い聞かせるように、柔らかな微笑みを2人に向ける。



でも、その瞳は、やっぱり悲しそうにしていて、胸が痛かった。



「そうだね」



「ひゆりんには敵わないもんね」



愛璃と花音も悲しそうに笑っていて、それが嫌だった。



笑わないで。



悲しいなら、悲しい顔をすればいい。



笑わなくていいから。



全部、分かってるんだよ?



私が悲しそうな表情しないから。



だから、無理して笑うのでしょう?



1番、私が悲しい筈だからって........



私は、そんな顔されたって、嬉しくないよ。



だから。



だから...........



「.......笑わなくていい..........」



勝手に口が動いて、ポツリと呟いた言葉。



その言葉に、みんなが目を見開く。
< 192 / 230 >

この作品をシェア

pagetop