鳥籠の中の少女
--ピーンポーン



俺は緋結の家の前に来て、インターホンを押した。



「はい。あ、潤樹君ね。ちょっと待ってね」



緋結のお母さんのその言葉で、ブツッと回線の切れた音がする。



暫くして、出てきてくれたのは、緋結。



「久しぶり」



相変わらずの無表情で出迎えてくれる緋結を見て、少しホッとした。



いつもと変わらない、態度でいてくれてる。



「久しぶり!」



だから、俺もいつもと変わらない、笑顔で話した。



「中に入って」



緋結の手招きで、俺は緋結の家の中に入った。



「愛璃は先に来てるわ。神賀はまだだけど」



「そっか。でも、俺、少し遅れたと思ったんだけど、楼大の方が遅いとは思わなかったな」



「そうね。一応、5時は過ぎてるわ。何で、遅かったの?潤樹って時間に遅れる様な人じゃないでしょ」



「あ、お母さんと話してたから。ちょっと、遅くなったんだ」



「そう」



他愛も無い話をして、緋結の部屋の前に着いた。
< 201 / 230 >

この作品をシェア

pagetop