鳥籠の中の少女
緋結が扉を開けてくれて、中に入る。



「潤樹、遅い!」



愛璃が待ち草臥れた様に、怒った。



でも、今日の愛璃は服装が違って、怒ってても可愛い。



どんな服装?



それは、ピンクに金魚のデザインが入った、可愛い浴衣姿。



「ごめんごめん。それより、浴衣着てるんだ」



浴衣の事に触れると、愛璃は凄く嬉しそうに笑った。



「似合ってるかな?」



「似合ってるよ」



「よかったー。緋結も浴衣着なよ。折角、持ってるのに勿体無い!」



「嫌」



緋結は、断固拒否といった感じで、即答する。



それに、俺は苦笑いをして、愛璃はつまんなそうにする。



「面白くない」



「面白くなくていい」



「絶対、着させるんだから!緋結のお母さん呼んでくる!」



愛璃はやる気満々と言った感じで、部屋を出て行った。
< 202 / 230 >

この作品をシェア

pagetop