鳥籠の中の少女
「大丈夫?」



「ハァ、ハァ、一応な」



「どうして遅れたの?」



呼吸が整ってきた、楼大は深呼吸をしてから言った。



「俺さ、小2の妹いるんだよ。そいつが遊んで遊んでって煩くてさー」



「そんなに小さな妹いたんだ」



「まぁな。で、振り切るのが大変だったんだよ。わーわー泣くし。お袋も、今日は流石に振り切るの手伝ってくれたけど、いつもは、泣かせるんじゃない!って煩いし」



楼大の愚痴を苦笑いで聞きながら、緋結の家の中に入った。



「あ、神賀来てたんだー!」



リビングに行くと、浴衣姿の緋結と愛璃。



緋結は黒に蝶のデザインが入った浴衣を着ていた。



「緋結、浴衣似合うね」



「似合わない」



緋結は無表情で即答する。



多分、怒ってるんだろうな。



あの顔は。



「ん?神賀、何固まっちゃってるの?」



愛璃の言葉で、一斉に楼大へと視線が向けられる。



其処には、愛璃が言うとおり、楼大は固まっていた。
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