鳥籠の中の少女
どれぐらい時間が経っただろうか?



いつの間にか、空には満天の星空があって、それが、祭りを楽しむ人達と重なって見えた。



「次、何する?」



愛璃がさっき捕まえた、金魚が入った袋を見ながら聞く。



「んー、どうしようかー」



俺が唸ってると、ぞろぞろと人が此方に歩いてきて、俺達ははぐれた。



「緋結!?楼大!?愛璃!?」



俺が慌てて、叫ぶと返事が帰って来た。



「私は此処にいるわ。残念ながら愛璃と神賀とは、はぐれたようね」



緋結の言うとおりだった。



人の大群が去って、周りはよく見渡せるようになったのに、愛璃と楼大はいない。



「どうしようか」



「此処を離れないのが得策ね」



「でも、もう少しで花火始まっちゃうよ」



俺は、愛用の黒のデジタル時計を見ながら言った。



花火が始まるのは8時。



今は、8時57分。



あと、3分も無い。



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