鳥籠の中の少女
「それもしょうがないわ。それに、楼大はその方がいいんじゃない?」



「確かにそうだけど」



緋結になんて言ったらいいんだろう?



急に2人になって、緊張してきた。



「潤樹、そんなに固くならなくていいわよ。あの日、何も言わないで、帰った事は何とも思ってないから」



緋結は優しいな。



そりゃ、分かってるよね。



俺が何を言いたいか。



でも、無理に聞かない、緋結は優しい。



「うん。その事なんだ。緋結に言っておこうと思って」



「そう」



いつもと変わらない、冷たい返事だったけど、緊張してる事は分かった。



だから、それを和らげるように、優しく言った。



「俺は緋結の事は恨まない」



--ドン



俺の言葉と同時に、花火が上がる。



煩くて聞こえなかったかと思ったけど、緋結にはちゃんと聞こえていた。



だって、緋結は目を見開いていたから。



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