鳥籠の中の少女
「.........どうして........?」



緋結は、やっと、絞り出したというようなか細い声で問う。



「緋結は何も悪いことしてないでしょ?」



「でも!潤樹のお姉さんを殺した犯人の娘よ?」



「加害者家族だから悪いの?」



「そ、それは........」



緋結は、黙り込んだ。



そんな緋結に優しく、緋結の不安を取り除くように言った。



「俺は違うと思う。だって、加害者家族でも、同じように苦しんできたんだと思うから。俺は、ずっと、緋結が苦しんでる姿見てきたよ」



「それは、唯人が殺され......」



「違う」



俺は緋結が話すのを遮った。



「どっちもでしょ?そして、愛する者が愛する者を殺した事。その苦しみも」



緋結は一筋の光る物を流していた。



「本当に恨まないの?」



「うん。確かに、緋結のお父さんは許せない。多分、一生。でも、緋結のお父さんの事も恨んでない。許すのと恨むのは違う。それに、一緒で起こる事、全てに意味があるんだと思うから」



「どういう意味?」



緋結は意味が分からないようで、難しい顔をしている。



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