鳥籠の中の少女
「俺は姉を亡くして、姉の大切さに気付いた。緋結も、唯人さんとお父さんを亡くして、周りの友達に恵まれたんじゃない?愛璃も桜木も葉連紀も、手を差し伸べてくれた筈」



「私は、それに救われた」



「でしょ?だから、苦しい事も、悲しい事も、幸せの為にあるんだよ」



「潤樹............」



緋結が俺に抱きついてきた。



だから、優しく抱きしめた。



「俺は変わらず、緋結の事好きだよ」



緋結にだけ、聞こえるように囁いた。



「私も.........」



小さな声で。



でも、確かな声で緋結は答えた。



俺は驚いて、目を見開く。



「本当に?」



「何回も言わせないでよ」



顔を赤らめながら、緋結は俺を見上げる。



ヤバい、可愛すぎる。



「もう、限界」



「え?.....んんっ.......」



俺と緋結は、花火が満開に咲く中、キスをした。



花火は、それを嬉しそうに見ているようだった。



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