鳥籠の中の少女
みんなでこうして、笑っている時間が楽しい。



今まで、ずっと、心を閉ざしていた私は、こんなにも狭い世界に閉じ籠ってた。



世界は広い。



教えてくれたのは周りの人達。



感謝しないとな。



「今日も活気があるね。此処は」



愛璃が楽しそうに言う。



いつの間にか、アウトレットパークに入る門の前に着いていたのである。



「今日は楽しもうよ。緋結、抜け出さないでね」



「潤樹は煩いわね。分かってるわよ。そんな事」



「分かってるなら良いけど」



<緋結!>



「え!?」



「どうしたの?」



愛璃が不思議そうに聞いてくる。



「今、唯人の声が聞こえたような.......」



「まっさかー。そんな事ある訳ないでしょ」



「そうね」



<緋結!>



また、唯人が呼ぶ声が聞こえる。



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