鳥籠の中の少女
<緋結、今、幸せ?>



空から、声がしたような気がして、空を見る。



其処には、ふわふわと浮いている、唯人がいた。



<約束したろ?『大人になったら緋結をお嫁にもらいに行くよ。で、幸せにしてやる』って>



真剣な瞳で、私を見る、唯人。



<お嫁にもらいに行く事は出来なかったけどさ、幸せにしようと思って。これが俺からの最後のプレゼント>



唯人の言葉に私は、思考停止してしまう。



<気に入ってくれたらいいな。もう、俺の事引きずるなよ。俺は、大事な緋結を助けられたんだから、恨んでない>



「緋結ー!遅い!」



愛璃が遠くで叫ぶ。



<おっと。今からデートだったな。行って来いよ。緋結、頑張れよ。ずっと、見守っててやるから>



「ありがとう」



私はそれだけ言って、愛璃の下へと急いだ。



唯人の仕業だったんだね。



私を潤樹を巡り会わせたのは。



最高のプレゼントだよ。



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