鳥籠の中の少女
「緋結」



小さな声で呼ぶと無表情で振り返った。



「何?」



「空見てて楽しい?」



「そんな事で話しかけたの?私の邪魔しないで」



そう言って、また空の方に視線を向けた。



緋結って不思議な人だな。



無表情で空が好き(?)で人と関わらない。



瞳は綺麗な色をしていただろうに今は死んだような瞳。



その瞳は底抜けの闇を語っている様。



「緋結は闇に沈んだ人みたい」



ポツリと呟いた言葉に緋結が大きく目を見開けたのを俺は知らなかった。



俺は放課後まで休み時間になるとずっと話しかけた。



でも、返って来る言葉は先程と同じ冷たい言葉。



それでも話しかけ続けた。



「緋結、一緒に帰ろ?」



「嫌」



「何で?」



「理由なんてない」



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