鳥籠の中の少女
「でも、聞いちゃったから聞きたい」



「それって好奇心ってやつでしょ?そんな事で人の過去を話せって最低ね」



それを聞いて、潤樹は震えだす。



「違う。俺は姉を殺されたから。だから、緋結の力になってあげたい」



「それも自己満足でしょ?」



姉が殺されたって言うのは、こんな笑ってられる人がまさかとは思ったけど、別にどうでもいい。



私には関係ないのだから。



「自己満足じゃないよ。大切な人を失った時の辛さは知ってるから。その辛さを誰にも言えず、抱え込んで自分の人格が変わるほどの苦しみそ知ってるから。だから、緋結に1人で抱え込んでほしくない」



「抱え込んでなんかいないわ」



私はそれでも突き放す。



私は最低な人間なんだと思う。



手を差し伸べてくれる人に対して、手を振り払う事と同じだと思う。



でも、私にはそんな余裕なんてない。



私は.......



私は幸せな人生を歩んだらダメなの。



唯人は私が殺したようなもの。



一生、唯人の死と言う十字架を背負って生きなければならない。



それ以外は何も持たず、唯、生き続ける。



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