鳥籠の中の少女
「じゃあ、大丈夫。大事な人が出来て、その人を失った時は失った時に考えればいい。起こってもない事を恐れても意味は無い」



「意味.....ある....よ.....人はい....つか死....ぬんだ....よ」



「そうだよ。人は何時死ぬか分からない。それが明日か、10年後か、50年後かなんて誰にも分からない。でも、人は何時死ぬか分からないから1日1日を精一杯生きるんでしょ?」



『何時死ぬか分からないから1日1日を精一杯生きるんでしょ?』



確かにそうかもしれない。



でも.........



「でも.......私.....はそん....な風に...生き....たらダメ...なんだよ」



「どうして?大切な人が楽しく、幸せな人生を送っている姿を見れば、自分も嬉しくならないの?」



「嬉しい......よ......でも....私はダ....メなんだ.....私の....所為で.....唯人は...死んだ....ようなも....のだから」




「それでも唯人さんは緋結が幸せな人生を送ることを望んでると思うよ」



違う.......



違うよ.........



どうして私だけ生き残ったんだって思ってるんだよ。



唯人は私を恨んでるんだよ。



死ぬ前、遊んでた時はあんな嬉しい事言ってくれたのにな..........



『大人になったら緋結をお嫁にもらいに行くよ。で、幸せにしてやる』



唯人のお嫁さんになる事なんて出来ないのに、今でも望んでる私がいる。



自分の事を恨んでる人が好きだなんて私も馬鹿だな。



「唯人は.....そんな.....事望ん....でない....よ」



「どうして其処まで否定するの?直接関係は無いでしょ?」



「そう.....だけど.......でも.....私.....の所為.....なんだ....説明...するか...ら聞い...て?」



「分かった」


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