鳥籠の中の少女
--2年前の夏--



私は今、アウトレットモールにいる。



其処の太陽の広場と呼ばれる、噴水がある広場で1時に待ち合わせをしている。



でも、今は1時10分。



「遅刻だわー!!」



私はピンクの腕時計を見ながら、綺麗に巻いたサラサラの髪を靡かせ、高いヒールで走りにくいながらも精一杯走る。



今日は唯人に会うために頑張ってオシャレしたのに。



これじゃ、台無しだわ。



もう少しで太陽の広場が見えてくると言う所で誰かに話しかけられた。



「可愛いお譲ちゃん。そんなに急いでどうしたんだい?」



「彼氏と待ち合わせかな?」



ニヤニヤと下品な男達が穢い手で、あたしの肩や腕を触る。



「止めてください。今、急いでいるのを分かっているのに引き止めないでください」



そう言って、私は肩や腕にある手を振り解く。



周りに人は沢山いる。



けれど、皆、コソコソと話すだけで助けてくれない。



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