鳥籠の中の少女
言う事はもう、ないだろうと思って空の方を見ると、また、話しかけてきた。


「君、何て名前?」

「銀木 緋結【シロキ ヒユ】」

「へー、変わった名前だね」



まだ、笑顔で話してくる樋渡君。

何が楽しいのだろうか。

へらへらと笑う彼の意図が解らない

私の言葉が面白かったのだろうか。

でも、『よろしく』と『銀木 緋結』としか言ってないのに何が面白いんだろうか。

解らない。

愛想笑いと言うならそんな面倒な事をする彼なんてもっと解らないけど。

でも、解らないからと言ってそれが解りたいかと言ったら話は別で、私はそんな無意味な好奇心などない。


「俺は樋渡 潤樹って言うんだ」

「知ってる」


そう言ったら、どうしてだとでも言いたげな顔で首を傾げる彼。


「さっき言ってたでしょ」

「あっ!そうだった」


この人の頭は狂ってしまっているのだろうか。

どうでもいいけど話しかけないでほしい。

私は空を見ていたいの。


「あのさ、どうでもいいけど話しかけて来ないで」

「何で?」

彼は不思議そうな顔をする

この人って女の子みたいな仕草をする。



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