鳥籠の中の少女
「俺は結果が全てだとは思わない。唯人さんの本当の気持ちは分からないけど、助けようとしてくれた気持ちは嬉しかったと思うよ?」



「でも......」



「緋結は悪く考え過ぎ。唯人さんは緋結の事を庇うぐらい好きだったって事でしょ?本当に唯人さんの事が好きだったのなら、唯人さんの分まで一生懸命生きるべき」



口籠った私に潤樹は尚も続ける。



「それが辛くてもね.......」



其処で悲しそうに笑った潤樹は私から見たら幼い子供が今にも泣きそうにしてるように見えた。



「私が一生懸命生きるの?」



「そう。それが緋結にとっての償いで、唯人さんにとって1番望んでる事だと思うよ」



償い.......



本当にこれが償いになるのだろうか。



今まで私は、唯、生きて、自ら死ぬ事を許さないと言う事が唯人への償いだった。



それが違うのだろうか?



「今の緋結は、唯々生きてる、生きてるロボットみたいだ。俺が、唯人さんの立場だったら、幸せになってほしいって思うよ。辛い事あっても頑張って、昔の様に笑ってほしいって思うよ」



唯人はそんな風に考えていてくれたのだろうか?



分からない。



死んだ唯人に尋ねても無駄。



でも、聞きたい。
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