鳥籠の中の少女
私は思わず、振り返った。



其処にはいつものようにニコニコと笑う潤樹がいた。



唯人からもらった命......



確かにそうだ。



唯人が庇ってくれたから、私は今、生きてる。



潤樹の言うように無駄にしちゃいけない。



唯人が出来なかった事を沢山するんだ。



唯人の代わりに......



「ありがとう。気持ちが定まったわ」



私は無表情だけど、精一杯のお礼を言った。



何年も笑ってないと、笑い方忘れちゃたわ。



いつか、思い出せるかしら。



「お礼を言われるほどの事言ってないよ。素直な感想を述べただけ」



潤樹が照れくさそうに笑う。



「じゃ、私、唯人の家行くから」



「そうなんだ。唯人さんのお母さんにもしっかり気持ち伝えないとね」



「頑張るわ」



「バイバイ!」



潤樹の声と手を振る姿を後ろに唯人のお墓を去った。
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