鳥籠の中の少女
意味が解らない。

本当にこの人は頭がおかしくなってしまったのだろうか。

こんな無愛想な人間をどうして好きになるのよ?

こんな人形みたいにな人間をどうして好きになるのよ?

初対面の人に1日で好きになるってどういう神経してるのか解らない。


「私は嫌い」


彼はどんな思いで好きだと言ったのだろうか。

多分、嘘だろうけど。

でも、本当に好きだったのだとしたら、私はどれぐらい彼を傷付けた事になるのだろうか。

解らない。

だから、言えるんだ。

簡単に人が傷つく事を。

そんなことを考えながら、立ち去ろうとした。

でも、また腕を掴まれて耳元で囁かれた。


「絶対に俺の事好きにさせてみせる」


私の耳元から離れると同時に、腕を離してくれて、だらりと腕が垂れる。


吃驚して、彼の顔を見ると固まってしまった。


「.....ゆ...い...とっ......」

「え?」


よく聞こえて無かったみたいで、彼は聞き直してくる。

でも、私はその質問に答えない。


「勝手にすれば?」


私は彼の顔が見たくなかった。

だから、私はその場を足早に立ち去った。




< 9 / 230 >

この作品をシェア

pagetop