勇者がいた33日間(お休み)
「おい!安藤涼真。」
4組の教室前で仁王立ちで現れたのは、田中ショウ君だった。
「あれ?
今日は双子の片割れは?」
「あんな奴と一緒にいると
吐き気がする。」
田中ショウ君は「あんな奴なんか…」と下を向いてぶつぶつ言っている。
本当に仲悪いんだな。
演技していたときと180度変わっていて、それはそれで面白かった。
「世間話するために
会ったんじゃない。
これ。」
差しだされたのは誓約書。
「負けたのは事実だからな。」
田中ショウ君は、顔を背けながら言った。
負ければ、勝った者に従う。
そういう精神はみんなの中に、しっかりと備わっていた。
「あっ、ついでだから。
谷川正也って…」
安藤君がそう言うと、一瞬、田中ショウ君は苦い顔をした。