勇者がいた33日間(お休み)



「蛇穴、後ろ見てみろよ。」

「はっ?後ろ。」



蛇穴君は言われた通り、後ろを振り向く。


 あっ!


どうして松木君がそんなことを言ったのかがわかった。

窓の外にはベランダがある。

けど、蛇穴君は気づかない。



「何もねえじゃねーかよ!」



松木君はため息をついた。

松木君がため息をつきたくなるのも分からなくはない。

きっと僕もため息をついたと思う。



「ベランダに出て5組から出てこい!」

「あ~!なるほどな!」



蛇穴君はポンッと手を叩き、窓を開けた。

よいしょと言って、ベランダに出る。



「そこにもワックスかけろよ!」

「分かってる、分かってる。」



そして蛇穴君は無事、教室から脱出できた。



「あ~あ、疲れた疲れた。」



蛇穴君は大きく背伸びをする。

松木君が小さく「こっちがだよ」と言ったのは、蛇穴君に聞こえてなかった。



「先輩方~~!!!!」



2組から聞こえてきた元気君の声。


 まさか…


助けを求めるような言い方に少し不安を覚えた。



「助けてくださ~い!!」



案の定、元気君も蛇穴君と同様に教室から出れなくなっていた。

その時、蛇穴君はとてもイキイキとしていた。
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