勇者がいた33日間(お休み)




「展示の資金は1万円で
模擬店は3万円で…いいかな?」



安藤君は僕に確かめるように聞いた。

けど、僕より先に反応したのは、



「展示に1万って…
そんなにいいの?」



原田輝は金額の大きさに少し驚いてた。



「十文字先生が、
金ならたくさんある。
って言ってたから大丈夫だよ。」



普通だったら、学校で集めたお金は教材費とかにあてられるんだろうけど。

ここは勉強なんて全くしないし、使い道と言えば窓ガラスの修理とか、そのぐらい。

逆にお金が余ってなかったらおかしいと思う。



「安藤、そのままあいつらに渡すのか?」



ショウ君は不安な眼差しを向けた。


ショウ君の気持ち、分かります。

きっと、1万円渡してしまったら…




『んっ?この匂い…』

『焼き肉食おうぜ!焼き肉!』

『でもそんな金ねぇし…』

『お前何円持ってる?』

『120円』 『58円』 『352円』

『13円……あっ1万円あった!』

『よしっ!食いに行くぞー!』




きっと何か獲物を見つけたとき、1万円の本来の使い方を忘れて、使い込むと思う。

いや、絶対使い込むな…。





< 189 / 210 >

この作品をシェア

pagetop