勇者がいた33日間(お休み)
「もうこれで決定な!?」
松木君は少しイライラしながら、壇上の上に立ち、みんなに聞いた。
あれから30分後…。
ようやく配役は決定した。
けどみんな、しぶしぶ承諾したという感じだ。
「てかさ、衣装とかどうすんだよ!」
「俺の妹のキャラクターの
ドレスなら家にあるけど。」
「お前の妹って…」
「7歳。」
「「お前はバカか!」」
次の問題は衣装のようで。
ここには演劇部があるはずもなく、衣装を用意する手段がない。
「写真館とかから借りてくれば?」
安藤君が救いの手を差しのべると、みんな「あ~あ!」と頷いた。
「黒田、お前が借りてこい!」
「……えっ!?何で僕が?」
僕はただ黙って話を聞いていただけだった。
が、松木君に急に指名され驚いた。
「七尾はいねえし…
お前しか普通な奴はいないんだよ。」
僕はクラス全体を眺め、最後に安藤君を見た。
金髪、ピアス、目付きの悪さ、顔のキズ…。
こんなんじゃ、大事な商売道具を貸してくれるはずがないな。
七尾君はいないし、僕が行くしかなかった。
「いってきます…」
僕は力ない声で言った。
歩くスピードは亀並みに遅かった。