勇者がいた33日間(お休み)



「もうこれで決定な!?」



松木君は少しイライラしながら、壇上の上に立ち、みんなに聞いた。

あれから30分後…。

ようやく配役は決定した。

けどみんな、しぶしぶ承諾したという感じだ。



「てかさ、衣装とかどうすんだよ!」

「俺の妹のキャラクターの
ドレスなら家にあるけど。」

「お前の妹って…」

「7歳。」

「「お前はバカか!」」



次の問題は衣装のようで。

ここには演劇部があるはずもなく、衣装を用意する手段がない。



「写真館とかから借りてくれば?」



安藤君が救いの手を差しのべると、みんな「あ~あ!」と頷いた。



「黒田、お前が借りてこい!」

「……えっ!?何で僕が?」



僕はただ黙って話を聞いていただけだった。

が、松木君に急に指名され驚いた。



「七尾はいねえし…
お前しか普通な奴はいないんだよ。」



僕はクラス全体を眺め、最後に安藤君を見た。


金髪、ピアス、目付きの悪さ、顔のキズ…。


こんなんじゃ、大事な商売道具を貸してくれるはずがないな。


七尾君はいないし、僕が行くしかなかった。



「いってきます…」



僕は力ない声で言った。

歩くスピードは亀並みに遅かった。




< 193 / 210 >

この作品をシェア

pagetop