勇者がいた33日間(お休み)
「あと1人って……」
安藤君はキョロキョロと教室の中を見渡す。
安藤君はこれでも転校生。
まだクラスメートの名前、顔は完璧に把握出来ていなかった。
松木君がいない…よね
みんな、誰がいないかは気づいてるはずなのに、安藤君には教えようとしなかった。
僕もそのうちの一人なんだけどね。
“ガッガッドォォンッ”
松木君は十文字先生が壊した戸を無理やり開け、止めをさした。
変な音がしたもんだから、みんなで松木君の方を見る。
松木君は、普通に戸を開けたつもりなのに、なぜか壊れた戸を不思議そうに見ていた。
「最後の一人は君か~。」
「はっ!?」
安藤君は松木君を指差し、近づいていく。
安藤君は多分、松木君との昨日の喧嘩はすっかり忘れているな。
松木君はそんな安藤君に少し戸惑った。