勇者がいた33日間(お休み)




「あっ、間宮帰ってきた。」




間宮は教室の戸の前で、誰かと話をしている。

相手はちょうど戸の陰になって見えなかった。




「原田、今から
面白いもん見れるぞ。」

「はぁっ?面白いもの?」




中村があたしに言った瞬間、




“ドサドサドサ”



「間宮だっせぇ!」

「アハハハハッ!」




戸の方を見ると、間宮は真っ白になっていた。

さっきまでクラスの奴らは元気なかったくせに、一気に元気になる。




「ほんと呆れる。
ねっ?矢野ちゃん。」



矢野ちゃんから返事がない。

矢野ちゃんを見てみると、耳にはイヤホンが装着されていた。


 どうりで返事がないわけだ。



多分、間宮が帰ってきたことを口にしたときに装着したんだろう。
矢野ちゃんは騒がし中でも、黙々と勉強を続けていた。




「あの~、ちょっといいですか?」




聞き覚えの無い声が、笑いの渦の中の教室に響いた。





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