毎日がカレー曜日
男は二人顔を見合わせた。
何とも言えない表情だ。
「見た、といいますか…なんというか」
怪奇現象を、うまく説明できる一般人は少ない。
怖い思いをした、という事実が大前提にあって、どう怖かったのかなどは、きちんと記憶してないのだ。
せいぜい、大きい物音がしたとか、白い影が見えたとか。
「行ってご覧になればすぐお分かりいただけると思いますが…その…ずっと、あの部屋にいるんです」
ずっといる?
彼らの言葉は、すぐに証明されることとなった。
機材と共に、『その部屋』にたどりついた孝輔は、兄とサヤの背中を見て足を止めたのだ。
いや。
その背中の、もっと向こうにあるもの。
大きく、きらびやかな壷だった。
その上に、何か座っている。
市松人形のような着物の少女だった。
霊を、こんなにはっきりと見たのは初めてだった。
兄同様、孝輔にも霊感はない。
その彼でさえ、普通の人間と変わらないほどに見えるのだ。
ただ。
ほんの少しだけ、向こう側が透けているような気がする。
それが、普通の人間とは違うところ。
「あの壷を買った日から、ああしてずっと座っているんでな」
買った時はおらんかったのにと、主人は、苦々しく言葉を紡ぐ。
「しかし、ただ座っているだけなら、悪影響もなさそうですね」
ハハハハハ。
さすがは、霊感のまったくない兄。
なんと、ずかずかと着物少女に近づくと、その身体めがけて手を伸ばしたのだ。