毎日がカレー曜日
 すかっ。

 すかすかすかっ。

 一度ならず、二度三度。直樹は、霊のど真ん中に手を突っ込んでは、その感覚を楽しんでいる。

 おいおいおいおい。

 祟られたりしねーのかよ。

 直樹の行動に思いきり引きながらも、孝輔は台車から機材を下ろし始めた。

 ここまではっきり見えているのなら、仕事としては簡単に終わりそうだ。

 ん?

 しかし。

 一人だけ不自然な存在が、そこにいた。

 サヤ、だ。

 着物少女の方ではなく、あらぬほうを見ている。

 視線を追いかけてみたが、そこには他の陶磁器が飾ってあるだけだ。

「悪影響があろうがなかろうが、せっかく手に入れた壷に余計な化け物などいらぬ」

 さっさと消してくれ。

 うなるように、依頼人は手で追い払う仕草を見せた。

「分かりました」

 直樹も、そろそろ霊の身体で遊ぶのにも飽きたのだろう。

 背広のポケットから、黒い革手袋を取り出す。

「それでは、本日はいろいろ調査させていただきます」

 直樹が手袋をはめたら、孝輔の出番だった。
< 15 / 53 >

この作品をシェア

pagetop