毎日がカレー曜日
「さて、と」

 すたすたと近づいてくる直樹は、彼の扱う端末を覗き込んだ。

「感想は?」

 手袋を外しながら、目を細める兄。

「普通じゃない」

 孝輔は、素直に感想を答えた。

 消せないという意味ではない。あくまでも、センサーで見た感覚を言葉にしただけだ。

 こんな霊、見たことがない。

「ふむ」

 端末操作はほとんどしないが、この理論を発案したのは兄だ。

 R値だのS値だのの意味は、誰よりも分かっている。

「なるほど、用心にこしたことはないな……秘密兵器を出すとするか」

 兄は、そうして端末から視線を外した。

 秘密兵器? ああ、室内測定器か。

 まさか、本当に使うはめになるとは思わなかった。

 単なる偶然なのか、はたまたこれが直樹の霊感というものなのか。

 とりあえず準備をしようと、孝輔は台車の方に手を伸ばしかけた。

 が。

 兄の口から、出たのは。

「サヤちゃん、ちょっといいかな」

 30キロの金属より──兄は、女を取った。
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