毎日がカレー曜日
「ってぇ……サヤちゃんだぁ?」

 頭に走る激痛とその名前が、脳内で飛び交う。
 しかし、まったくさっぱり聞き覚えがなかった。

「そうだ、吉祥寺サヤちゃんだ。今日から、ここで仕事をしてもらうことになった。ちゃんとヨロシクしとけ」

 なのに、兄ときたらごく平然と、いつも通り偉そうにそう言い放つのだ。

 吉祥寺サヤ? ここで働く?

 女のほうを振り返ると、向こうは最初から孝輔の方を見ていた。

「吉祥寺サヤです、よろしくお願いします」

 そして、よどみない笑顔を向けるのだ。

 結局のところ。

 まだ、何ひとつ答えを得ていない孝輔には、眩しすぎる笑顔だった。
< 2 / 53 >

この作品をシェア

pagetop