毎日がカレー曜日
 室内測定器を準備する。

 この空間全体の値のチェックを、一応しておくことになったのだ。

「ここの主人の話によると……」

 準備中に、直樹はようやく依頼の経緯を話し始めた。

 ただ待っているのが暇なのだろう。

「前に雇った霊能力者は、あの着物の子を消すことに成功したらしい」

 ガチャガチャ。

「あの、何かお手伝いしましょうか?」

 孝輔が忙しそうなのを見て、サヤが声をかけてくる。

「いや、いい」

 目をそらしながら、作業を続けた。

 彼の内心は、混乱と複雑をきわめていて、素直にサヤに接することは出来なかったのだ。

「だが、またもあの着物の子は現れた。すぐに、だ…なぜか分かるか?」

 コンセントを探していた孝輔は、使用人に案内されてそれを見つけた。

「あー? さっきのが、からくりだろ?」

 兄の質問に対しての返事が遅れながらも、とりあえず電源を確保する。

 S値がないR値だけの着物少女。

 R値はないが、S値だけは持っている別の壷。

「あの子は、単なるはりぼてで…本体がこっちってわけだ…よっ、と」

 前に来た霊能力者とやらは、目に見える少女だけを追い払おうとした。

 しかし、本体は別にいるのだから、すぐにまた姿を現したのだろう。

 よっぽどヘボイ霊能力者でも雇ったのか。

 360度、回転しながらサーチするセンサーをとりつけ、ようやく準備完了だ。
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