毎日がカレー曜日
「それじゃ、どれがあの着物の子の親玉かわかんねーんじゃ?」
S値反応を出しているものがいっぱいあるというのなら、あの別の壷だけが特別というわけではないだろう。
犯人の可能性は、部屋中にあるではないか。
「でも…」
孝輔の言葉に、恐縮そうにサヤが口を挟む。
「でも…この部屋で怒っているのは、あの壷だけです」
指の先は、S値の壷。
そういえば、最初に彼女がそう言ったではないか。
『怒っている』、と。
「九十九神は、みんな姿を現していたずらをするわけではありません。ただ、自分の置かれている立場を不満に思った時に、持ち主に何らかの働きかけをしてきます」
流れる川のような、サヤの声。
孝輔は、思い違いをしていた。
霊能力者である、兄のヤイバにくっついてまわっていただけの妹ではなかったのだ。
彼女自身もまた、その能力を持つ者で、それを直樹は知っていたのだろう。
直樹・孝輔兄弟にはない、アナログの古典的な力。
それは、直樹にとっては恰好の利用材料だったのか。
「というわけだ、孝輔くん」
突然軌道修正を余儀なくされた弟の頭の中も知らず、わざとらしく『くん』までつけた兄に、肩をぽんと叩かれる。
「そろそろ、ソフトをバージョンアップしようじゃないか」
は?
九十九神から、どうしてソフトバージョンアップが出てくるのか。
S値反応を出しているものがいっぱいあるというのなら、あの別の壷だけが特別というわけではないだろう。
犯人の可能性は、部屋中にあるではないか。
「でも…」
孝輔の言葉に、恐縮そうにサヤが口を挟む。
「でも…この部屋で怒っているのは、あの壷だけです」
指の先は、S値の壷。
そういえば、最初に彼女がそう言ったではないか。
『怒っている』、と。
「九十九神は、みんな姿を現していたずらをするわけではありません。ただ、自分の置かれている立場を不満に思った時に、持ち主に何らかの働きかけをしてきます」
流れる川のような、サヤの声。
孝輔は、思い違いをしていた。
霊能力者である、兄のヤイバにくっついてまわっていただけの妹ではなかったのだ。
彼女自身もまた、その能力を持つ者で、それを直樹は知っていたのだろう。
直樹・孝輔兄弟にはない、アナログの古典的な力。
それは、直樹にとっては恰好の利用材料だったのか。
「というわけだ、孝輔くん」
突然軌道修正を余儀なくされた弟の頭の中も知らず、わざとらしく『くん』までつけた兄に、肩をぽんと叩かれる。
「そろそろ、ソフトをバージョンアップしようじゃないか」
は?
九十九神から、どうしてソフトバージョンアップが出てくるのか。