毎日がカレー曜日
「了解」

 寝た時間は短いが、自然と頭が仕事モードに切り替わっていく。

 霞が晴れ、やるべきことを思い出す。

 トランクを開けて、仕事道具を取り出す。

 ジェラルミンケース2つだけなので、孝輔一人で持っていくことが出来た。

 先頭を直樹が。
 その少し後を孝輔が。

 そして、サヤが続く。

「ようこそ」

 使用人によって開かれた玄関には、依頼主が待ち受けていた。

 夜だというのに、ガウンは着ていなかった。残念だ。

 そのまま共に、問題の部屋へとたどりつく。

 着物の少女は、やはりそこにいる。

 準備開始だ。

 孝輔が機材をセットアップしている間に、直樹は依頼主とコミュニケーションをとり、手順を説明している。

 サヤは、古い壷の方を見ていた。

 まだ、あれは怒っているのだろうか。

「準備完了」

 孝輔が宣言すると、兄は依頼主に軽く断りを入れて、手袋を装着した。

「始めよう」

 直樹は、その手を古い壷に近づける。

「『削除』モードスタート、S値、中和始めます」

 測定モードはインプット機能だ。

 その空間の数値を取り込むための仕様になっている。

 しかし、削除モードはアウトプット機能。

 それ以外の空間と同じ値に戻すため、S値のマイナスを注入していくのだ。

 プラスマイナスが0になった時──霊の削除は完了する。
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