毎日がカレー曜日
 が。

「ふん、なんじゃ…悋気しておっただけか」

 悋気(りんき)──今風の言葉で言えば、嫉妬。

 依頼主は、呆れたようなため息をついた。

「はい、あなたを新しい壷に近づけたくなかったんです」

 光が、見えた気がした。

 もしかしたら、と。

「ふん、壷も女も変わらんのぅ…新しい女ができると、すぐキーキー言う」

 直樹を押しのけるように、老人は古い壷の前に立った。

「バカもんが」

 小さく呟くや、彼は突然その壷を抱え上げた。

「お館様! 私めらが!」

 使用人が一斉に駆け寄ってきて、老体から壷を受け取ろうとする。

「このくらい、問題な……」

 グキ。

 言いかけた言葉の途中で、大きく骨が鳴るような音。

「お館様~!!!」

 使用人の二人は壷を、もう二人は主人を抱えるハメとなったのだった。

「ワシの寝室の枕元に飾っておけ」

 腰を押さえながらも、依頼主は厳しくそれを指示した。

 しかし、どうやら彼もまた、一緒に寝室へいかなければならないだろう。

 そのまま。

 壷と老人は、抱えられたまま部屋を出て行こうとした。

「もう、あんたたちは帰っていい…金なら振り込んでおく」

 ドアのところで、依頼主はそう言った。

 表情は見えなかったが、やわらかく温かいものが伝わってくる。
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