夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
「ごめんなさいね、隆哉君に迷惑をかけてしまって…。」

千尋さんに頭を下げられ、

「勘弁してよ…もう…会社の人に見られたら…。頭を上げて…ね。」

と、自分は慌てた。

「優花の不注意だったのに…。」

まだ、言うか千尋さん!!

「もう、やめ!お願いだから!!」

少し語尾がきつくなった自分を、千尋さんは頭を上げて見つめてきた。

そしてため息を一つついた。
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