夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
「知らんかった?ま、会社では無理してるからね。」

自分は笑ってみせた。

彼女はこっちをジッと睨んでくる。

止せよ…、その眼力は。

自分がたじろぎかけた時、

「ま、座りましょう。」

と、千尋さんに助け舟を出してもらい、事なきを得た。

大沢さん母娘は、石造りのベンチに座り、自分はガロー側の斜面の草の上に座った。
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