夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
「なんでもありません。大沢さんも、早く帰りなよ。」

振り向いてごまかした。

そう自分ではそのつもりだった。

しかし、彼女はジッとこちらの顔を見てくる…。

たまに思うのだが、彼女はなかなかの眼力をしている。

気圧されて、なんでもしゃべってしまいそうになる。

同世代の男の子では、彼女の魅力にひかれて下手に近づくと大火傷する事だろう。

まだ、幸いなのは彼女自身がこの武器に恐らくは気付いていないって事…。

ま、多投されたらこちらがもたないけど…。

ここも早々と、逃げるが勝ちだ。
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