夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
だよね、だから思い出せなかったんだから…。

「残念ながらね。」

千尋さんは膝の上に肘をついて娘同様、覗き込んできた。

コラコラ、誤解を招くような言い方は…。

ほらっ、娘の瞳が妖しく光ってますってば…。

ん〜……、何もなかったよな………?

二人の視線を避けるように空を見上げたけど、微かな風が吹き抜けていった。
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