夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
再び、中学3年生の、矢口と中林…。

あれから、ずっと水田を見ていた中林が、

「矢口君…、ホントにごめんね。私…何もできなかった…。」

表情を曇らせた。

矢口は、体を起こして、

「中林さん…謝るような事…何もないんだけど…。」

中林を見つめた。

中林は僅かに笑みを浮かべて、

「かえって…、その言葉が辛いよ…。」

中林も矢口を見つめた。
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