夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
「……った…。」

「な…何…中林さん?」

「よかった…。虐められて…いなくて…。」

目から涙を溢れさす中林は、矢口の肩に寄りかかった。

「中林さん……ゴメン…。心配かけていたんだね…。」

矢口は、人差し指で中林の涙を拭いた。

「…指!?」

「う…うん…、ハンカチ…汗拭いているから…悪い…かな…って。」

「……もう……知らない!」

中林は、ベンチから立ち上がり、矢口を蹴っ飛ばしたのだった。
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