あなたに
「えっ?」
「”えっ?”じゃねぇよ。何?どこが解んねぇの?」
「・・・。えっ?教えてくれんの?」
「だから早く解んねぇとこ教えろ。」
前言撤回。
いつも何だかんだ言って柚瑠は優しい。
「全部わかんない。」
「はぁ?お前ちゃんと勉強してんの?」
「勉強してないから解んないの!」
「そんな自信満々に言われても困るんですけど・・・」
「でも最初の2ページまでは覚えてるよ。」
「2ページとか・・・でもそこが出来てれば大体は出来るはずだから、ここからここのページの単語全力で全部覚えろ。」
「でも、あたし今日教科書忘れた・・・」
「まじか・・・んじゃ俺の教科書貸してやるから」
「ホント!?」
「いや、逆に嘘ついてどぉすんだよ」
「んじゃ借ります」
そして遠藤Tが教室に戻ってくるまでの10分間、あたしは全力で単語を全部覚えた。