それぞれの場合
「…千歌…ごめんな…」
「…っ…謝られても!!
………うー…………」
なんでこんなに泣くんだよ…
こんな暇あったら勉強…
「俺のせいで
千歌にプレッシャーかけてたんだな…
こんなに泣くほど…」
「…うっさい…!
僕は兄ちゃんみたいには
ならない。なっちゃダメなんだよ」
僕…いま酷いこと言ってる
詩乃兄ちゃんが辛かったこと知ってた
でも僕に比べたらって…
「ダメだ。
俺みたいになっちゃ。」
「え…」
「俺は、うまく目標が決められなくて
留年しちまった…
でも千歌には俺みたいに
なってほしくないから
自分の本当に進みたい
進路に進んで欲しいんだよ
後悔しない選択をしてくれ…」
それだけ言うと
詩乃兄ちゃんはドアノブに手をかけて
一言僕が一番欲しかった言葉をくれた
「自由になっていーんだよ」