それぞれの場合



「どした?」


去ろうとする白井が
俺の異変に気付く


「…あ、いや、何か
俺バカだなーってさ
今頃…本当なら白井と同級生だったのに
…ハハ…ハッ…」


「なんか言われた?」


「やっ。いつものこと…」


「そーやってさあ
`いつものこと'で誤魔化すの、
止めれば?
本当の馬鹿になりたいのか」


何が言いたい?



と怒りそうな俺を
真剣な白井の瞳が落ち着かせた



…当たってる、な



「よく…分かってんな白井」


「なんか言われたんだろ」


「ああ…俺は期待外れだとよ。」


…いつもそうだ


「俺は一応、佐高家長男として
ここに入った。
でもなー…どっかで狂ったんだよ」


ドア近くの椅子に腰かける白井


「なんっかー目標とか無いまま
高校入って周りは進路考えてたりしてて
俺だけ置いてきぼりで…

何を目指してべんきょーすんのか
分かんなくなったんだよ。
……たぶん、そこら辺から
諦め癖がついて留年して
親から呆れられ教師から呆れられ

…今に至る。」



冷静にだけど


溜まった言葉を吐いたら
また目の前が揺れた



「へっ…バカだな」


床に落ちたソレは
フローリングに染みる筈はなく
恥ずかしくも残る



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