それぞれの場合
しばらく黙っていた白井が口を開く
「オレさあー…詩乃はスゲーと思うよ」
「…は?」
鼻をすすってボヤけ気味にだけど
白井を見る
「…そーやって目標が無いまま入学する奴
少なくないと思うよ。
そっから見つけていくんだろ目標って
詩乃はたまたま見つからなかっただけで
留年って形になったけど
ちゃんと学校に来てんのはスゲーよ。
普通はヤじゃないか?
それでも詩乃は心のどっかで
諦めたふりして探してるんだろ?」
「……んな…こと」
「留年って詩乃にとって隠したい汚点かも
しれないけど、ちゃんと立ち向かってるんだから詩乃は偉いよ…。」
……こんなこと…言う奴居なかった
大半は馬鹿にして笑って
噂して呆れて
「今からでも出来る事、あるだろ?」
ニコッと微笑む白井に
言いきれない想いが込み上げる。
ただ、今言えること
「…白井……ありがとなっ…!」